自主制作アニメについて考えていること

 はじめまして。Cと名乗る怪しい者です。

 

 この文章はあくまで自分の考えを文章化しただけのものであって、他の考えを否定したり批判したりする意図は一切ありません。

 

0.自主制作アニメとは

 本題に入る前に、まずこの文章で指す自主製作アニメは何かということを話します。

自主制作アニメというのは個人もしくは少人数で制作されたアニメーション全般を差すもので、厳密な定義によって定められたものではないです。具体的に制作人数何人以下だとかいう基準はありません。

 

1.制作側の現実

 自主制作アニメは前述のとおり、少ない人数で作画をしています。なので、基本的に作業量や予算の関係からアニメーションの尺には限界があります。ほとんどが数十秒~数分の尺で、十分あれば長い方、三十分もあればかなりの大作だと思います。中には一時間を超えるようなとんでもない大作もありますが、ごく稀です。

 自主制作アニメはTVアニメや自主制作ではない劇場版アニメと比べ、尺が短い傾向があり、その結果、限られた時間の中に作者が伝えたいことや描きたいことが詰め込まれることになります。なので、作者の描きたいことの内容が濃くなりやすく、作品自体が濃い内容になる反面、展開が早くなったり、物語のつくり全体が粗くなったりして、そもそも描きたいことが鑑賞者に伝わりづらくなりやすいことを意味します。

これを防ぐため、多くの場合は構想していた内容や演出の一部を削ることを余儀なくされ、描きたいもの一切全てを作品に込めることは難しいのが現実です。

 

2.自主制作アニメの醍醐味

 前項で述べた通り、自主制作アニメは制作人数が少ないので、作者が伝えたいことや描きたいことが薄まりにくい傾向があります。この伝えたいことや描きたいことは、ストーリーだけには留まりません。作者の個性は作画や構図、演出などにも渡り、作者という表現者が作品という鏡に映し出されます。

 私はここが自主制作アニメの醍醐味なのではないかと考えます。

 普通では企画が通らないような内容でも、どんな自己満足な内容でも、自分がGOサインを出せば止められることはありません。公開する場合の権利的なものを除き、基本的に何を描いても許されます。

 熱い戦い、恋愛、平和な日常、人間と人外の友情、ギャグといったよくある物から、人間とはなにか、自分とは何か、世間への皮肉や世論へのアンチテーゼ、特定の作品への個人的なアンサー、あるいはフェティシズム性的嗜好、異常心理と言ったものまで描かれる場合があります。基本的に表現の制約がないので、汚さや醜さといった人を選ぶ表現も入れることができます。

 作者の制作目的にもよりますが、基本的に万人受けを狙いに行く必要はありません。たとえ物語の結末が、大衆が望むようなものでなくでも、作者が描きたかったものであればそれでいいのです。自主制作でないアニメが万人受けを狙わなければならない訳ではありませんが、自主制作アニメは自主制作でないアニメよりこの点において制約が緩いです。

 本来、人間を脅かすように描かれる存在が人間に怯え自分を殺し続けても、正義のヒーローが最後にエゴを見せて目の前の幸せに目が眩んでも良いのです。固定観念や先入観なんかただの幻です。ヒーローだって人間であれば利他と利己の両方を持って当然です。

 描きたいものを個人や少人数で自由に描くことで、作者の個性や思想、好みが全面に作品に映りやすくなり、これが作品の味になります。

 

3.「解釈」を通じて見る、作者という表現者

 また、このような創作をする人は小さい時から何かしらの創作をしている人が多いです。過去にアニメーションに限らず、小説や漫画などの作品を過去に作っていたり、完成とまで行かなくても作品の構想があったりする場合が多いです。

 作者が過去に創作をしていた場合、一つの自主制作アニメに、過去の作品や完成できなかった構想が活きているかもしれません。過去の何個のも創作が今の作品を支えているかもしれません。そのように考えると、自主制作アニメを通じて、作者という表現者を見ることができるのです。

 また、作品を個人や少人数で制作している以上、無意識の癖が出やすい傾向にあります。この癖を分析することで、作者自身も気づいていないものに気づけるかもしれません。この分析する行為を私は便宜的に「解釈」と呼んでいます。

 よく、作品の設定やストーリーについて「考察」する方はいますが、「解釈」をする人はほとんどいません。「考察」は作品への理解を深くし作品を楽しむ行為ですが、「解釈」は「考察」だけでなく作品の傾向や演出の癖を分析し作者を知ろうとする行為です。例えば、同じ構図や近い構図のシーンに同じ音楽を使っていないか、同じ台詞の後の台詞を比較して何がどう違うか、同じような状況のシーンでも登場人物の心理変化の描写がどうなされているか、というようなことを分析します、「解釈」をすることで作者という表現者を見ることができるかもしれません。

 

4.最後に

 今回は自分が今まで自主制作アニメに対して今まで考えてきたことを言語化することが当初の目的でした。折角なのでこうやって投稿しましたが、他人に読まれることを想定していなかったので読みづらかったかもしれませんがそこはご容赦して頂けると助かります。もしコメントがあれば嬉しいです。